手の故障問題
ここで改めてもう一度書いておきますが、こちらのカテゴリー「大人のピアノ」は、「中年の趣味のピアノ弾き」が対象です。中年が、キーワードです、あしからず(笑)
中年でいきなりピアノを再開してから、わたしは3度、ピアノで手が痛くなり、整形外科にかかったことがあります。
幻想曲さくらさくらで、深いうるさくないフォルテを出そうとして何度も何度もやって、結果うるさい音で鍵盤をたたく行為を繰り返し、指の関節が痛くなりました。診断はへバーデン結節ということで、加齢に伴うもの、負担が原因、将来指が変形するだろう、と言われて、テーピングするものと痛み止めの塗り薬をもらいました。
その時に、将来変形してしまうかもしれないのなら、動くうちにどうしても弾きたい曲を弾こうと決めました。
二度目は、別れの曲の練習中、やはり最難関部のフォルテを繰り返し繰り返し練習して、親指のあたりが痛くなりました。これはMC関節症との診断で、やはり加齢と使いすぎが原因と言われました。
医師はどちらの時も、「痛くならなければピアノは弾いてもいい」と言いましたが、先生から30分以上続けてピアノを弾かないようにと言われて、守り、そのうちに痛みはとれました。
しかしこの時は、脱力しなければ・・・と強く考えました。
そして、力を入れないようにものすごく気を付けながらその後幻想即興曲を弾き、発表会にも出しました。
その後も時々左腕が痛かったのですが、痛いところが手首から下ではなかったし、腕が痛くなるという話はちらほら周りの人も言っていたので、あまり気にせずに弾いていました。
そんなある日、幻想即興曲をもう一度発表会に出すことになり、幻想の集中練習をしていたら、左手の親指の付け根が痛くなりました。
今までで一番強い痛みでした。日常生活はもちろん、寝ていても痛みで目が覚めるほど。
診断は、腱鞘炎でした。やっぱり、「痛くならなければピアノは弾いてもいい」と言われ、湿布を出されて終わりました。
この時は発表会の直前だったし、一番辛かったです。練習したくてもできなくて悔しくて泣いたりしました。
腱鞘炎になったのをきっかけに、弾き方を根本から変えたいと考えました。
「おばあちゃんになっても弾ける弾き方をしよう」と決めたのです。
弾き方を直したいというわたしに、とある方がこう言いました。
「ねこぴあのさんは鍵盤を叩いています。ピアノはマシンです。力いっぱい叩いたら自分の手を壊します。ピアノは、叩くものではなくて、触るものです。」
びっくりしました。叩いてるという自覚は、ありませんでした。触るなんて考えたことはありませんでした。
以降、先生に習いつつ、時々その方のレッスンを受けるようになりました。
弾き方を直すのは、根気のいる作業です。今も直しきれていません。
手に負担がかかる弾き方をしていても、練習時間が少ない人、子供のころからずっと弾いていて筋肉などが作られている人は、手を壊しにくいのだそうです。
姿勢がとても大切なことも分かってきました。こちらも意識しないとすぐにゆるんでしまいます。
それからは、時々痛くなったり小さな違和感を感じることはありますが、弾き方を見直すことで続くことはなく、腱鞘炎の再発は防げています。
中年のピアノ弾き、特に手の小さい女性は、真剣に、手の故障に気を付けないといけないと思います。
それはお前だけだよと思うかもしれませんが、自分が腱鞘炎になるなんて思いもしませんでした。
どんなに小さな痛みでも、それが腕であっても、痛みや違和感を感じたら、要注意です。
姿勢も、ものすごく大切なようです。
昔は、腱鞘炎なんてなって当たり前(一人前?)、大騒ぎするものではない、という認識があったらしいですが、わたしは違うと思います。
心の中で、大騒ぎしていいと思います。もっといい弾き方にするチャンスです。
そして、楽に無理なく弾ける弾き方を、模索してほしいと思います。
先生やほかの人がらくらく弾ける弾き方が自分に合っているとは、限りません。
実際、先生は根気よくわたしに教えてくれています。
でも、ひとりひとり、手は違うのです。
中年の特に手が小さい女性に教えている先生方が、この記事を読んでくれますように。
自分のような思いを誰もしなくてすむように、願いを込めてこの記事を書きました。
えらそうに書いてすみません。