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ピース

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<ピースに感謝を込めて>




「文鳥が欲しい」

子供がそう言いだしたのは、小学生の時でした。

わたしは物心ついたときから動物がずっとそばにいたので、犬や猫などは身近な存在でしたが、文鳥は、一度も飼ったことがありませんでした。

子供の頃、九官鳥はいたのです。

九官鳥はとても賢い子で、人間をちゃんと区別し、話しかけると首をこれでもかというほどかしげてじっと聞き入り、ついにはその言葉を真似しては、家族を和ませていました。

天気のいい日にはかごごと水の中にいれてやり、水浴びをさせていたのを覚えています。

だけど、一度も、文鳥やインコなどを飼いたいと思ったことはなかったので、子供の発言に全く気のりせず、「ええ~~??文鳥~~??」と言いました。

お決まりの、「世話をちゃんとやるなら飼ってもよい」という約束で、子供はまんまと桜文鳥を手に入れました。

「ピーちゃん、ピーちゃん」「なんて名前にする?」「ピースはどう?平和って意味だよ」「それいいね!」と、名前も決まりました。

文鳥の飼い方という本を読み、「つついて痛くても、絶対に大きな声で怒ったりしちゃだめなんだって」「こうやってくちばしをつまんで、だめってことを教えるといいみたいだよ」「自分のことをすきなことは分かるんだって」「寒さに弱いんだって」「ちゃんと人間の区別ができるみたいだよ」など、家族で教え合い、確認し合いました。

小さなひなは、成長するとなくなる口パッキン(口角についているゴムパッキンのようなもの)がついていて、親鳥から餌をもらえるように大きく口を開けることができるようになっていました。

一日に何度もひな専用のえさを作り、専用の容器で口に餌を入れてやりました。

温度管理が悪くて、ひなのときに一度死にかけました。

翼をばさーっと広げて、ぐったりしていたのです。

「ピースごめんね」「ピース死なないで」

一晩中そばにいました。

動物病院で、今晩が峠と言われたひなは、持ちこたえて、すっかり元気になりました。

死にかけたときにかごにつけたお守りは、そのあとずっとピースを守りました。



ひなの文鳥は、大変地味な色をしており、オスかメスかもわかりません。

「オスだと色もきれいだし、求愛ダンスっていうのをするみたいだよ」「へえ、オスだといいね」「オスだと、こうやって鳴くみたいだよ」

すると、

「ぐじゅぐじゅ・・・・・ぐじゅぐじゅ・・・・・・・」

鳴く練習を始めました。待望のオスでした。



どうやったら水浴びをするか分からなくて、子供と色々試したりもしました。

「絶対に悪いものは食べさせないようにしよう」「人間が食べているのを見せちゃだめみたいだよ」

温度管理のために、数年たつまでは遊ばせるとき以外はピースをピアノ部屋から出しませんでした。

だからわたしの動画には、ピースの鳴き声が入っているものもあります。



まだら模様はどこにもない、きれいなきれいな桜文鳥になりました。

アイリング(目の周りの赤いところ)もくちばしも真っ赤です。

オスらしく、足の力は強く、凛々しい立ち姿でした。

甘えん坊で、かごから出すと、まずは手のひらの上で求愛ダンスを踊り、それから指を甘噛みして、少しだけ飛んでも、呼べばまた必ず戻ってきました。

手のひらの上でお座りして、そっと握るとうっとりとしたように目を閉じる、「握り文鳥」になりました。

家族のことはちゃんと理解していて、家族の中でも好きな順位があるようでした。

犬より手がかからず、ねこよりなつく。鳥がこんなにかわいいものとは!

「こんないい文鳥はどこにもいないよねきっと」「ピース以上の文鳥はこれから先もいないだろうね」

「ほんとにきれいな子だねえ」「ピースはいい子だね~」

みんなでピースをかわいがりました。



夜は「ピースお休み」と言って布をかぶせ、ピッピッと少し鳴くけどすぐにあきらめてつぼ巣に入って寝て、

朝「ピースおはよう」と言って布をとって起こすと、ピッピッと鳴いてつぼ巣から出てくる。

そんな生活が8年過ぎました。



文鳥の寿命は、7~8年。どんなに長い子でも10年らしいことは知ってはいました。

8歳は、人間で言うと80代のおじいさんです。

だんだん、求愛ダンスをしなくなり、

かごから出しても、飛び回らなくなりました。

手のひらの中にうずくまるように座ることが増えてきました。

足が疲れるのか、つぼ巣の中にいることも。

「くちばしの色や足の色が何だか薄いみたい」「ほんとだ」

そう言い始めた朝、起こすと、目を開けず、呼吸が荒くなっていました。

「ピースがおかしい」

動物病院に連れて行こうとしたら、また元気になり、何事もなかったかのようにえさを食べ、水浴びをし、毛づくろいをしていました。

「なんだったんだろうね?」

一安心していたら、

今日突然、ピースは、動かなくなっていました。


「え・・・・・ピース・・・・?」

「・・・・ピース・・・・・・・ピース。おいで?」



ピースは、もう、動きませんでした。

黒い丸い目を、もう開けてはくれませんでした。

もう、「ピッ」と、返事はありませんでした。

指を甘噛みしていたくちばしは、黒ずんでいました。

ふわふわの温かいお腹は、冷たくなっていました。




ピース、ごめんね。



ピース、ありがとう。



ピース、だいすきだよ。













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NoTitle

Nekoushi
2017.08.26 Sat 07:20

おはようございまーす(^^♪

この記事読んで、朝から大泣き(は言い過ぎだけど)してしまいましたよ(^^;;
読みながら途中から結末の想像はついて、心の準備はできてたはずなのに…。
ねこぴあのさんの家族に愛されて、ピースは幸せ者でしたね。
と、書いてたら、また泣けてきた(T_T)

私も子供の頃、白文鳥とか十姉妹を飼ってましたよ。
十姉妹の繁殖力が凄すぎるのと、文鳥があんまり可愛くなかったのが印象に残ってます(笑)
ヒナから育てないと、あんまりなつかないみたいですね。

Nekoushi さんへ

ねこぴあの
2017.08.26 Sat 12:10

Nekoushi さん、泣いていただき、ありがとうございます。
ピースという鳥がいたこと、残しておかなくちゃって思って記事を書きました。

十姉妹って繁殖力がすごいのですね??
文鳥、なつかなかったんですね~
ひなから育てないとなつかないのかあ・・・
「手乗り文鳥」はよくいるけど「握り文鳥」にはそうそうならないと何かで読みました。
うちは初めての子なので、よくわからなくて。

悲しすぎて、もう文鳥は飼わないだろうと思います。

NoTitle

ねこねここねここたつでねてる
2017.08.27 Sun 07:24

寿命の長い人間の私たちが必ず迎えるだろうその日・・・でもそんな日が来たら・・・自分はちゃんと立っていられるだろうか、私の時間は止まってしまうのではないか? そんなことを時々考えるのですが、ねこぴあのさんは「その日」を迎えられたのですね。 心中お察しいたします。いえいえ、私が察するよりももっともっとお辛いし衝撃なのでしょうけれども。大丈夫でいらっしゃいますか?

ピースちゃん、ねこぴあのさんのお家でみんなに愛されて幸せでしたね。 8年間、たくさんたくさん幸せな時間があったのですね。 最近、ある猫ボラさんのブログで拝見したのですが、「出会えたことが奇跡、過ごした時間が宝物」、本当にそうだと思います。 お辛いでしょうけれども、心の傷が癒えるにはお時間がかかるでしょうけれども、お体大切にがんばって生きてくださいね。 もしかしたら数年後にはお孫様ができて新たな命の喜びがあるかも知れません。 お仕事柄、交通事故には十分お気を付けくださいませ。 ピースちゃん、きっと天国で見守っていてくれると思います。 合掌

ねここたつさんへ

ねこぴあの
2017.08.27 Sun 11:04

リビングにいると、どうしても鳥かごにピースがいるような気がして、朝起きてもいないことが信じられず、夜寝る前も、あ、寝かせなくていいんだ・・と気持ちが付いていかず・・・です。
文鳥は暗くすると寝てしまうので、夜誰もいなくても電気をつけていたんですけど、昨日誰もいないリビングの電気がついてないので、夫も、「そうか・・つけなくていいんだな」と言ってました。

ピアノが、救ってくれています。
昨日はピアノ友達とお茶して、たくさん話して明るいオーラをもらって元気になって、レッスンで笑って、また目標ができて。
ピアノがなかったら、立ち直れなかったかもしれません。

交通事故、そうですね!
ねここたつさん、いつもありがとうございます。
恩を返せてないな~・・・・申し訳ないです・・・・心から感謝しています。



NoTitle

私はタワシ
2017.08.29 Tue 17:34

ほんとに、色がきれいで、顔立ちも端正な、イケメン文鳥だったのですね~
「手乗り文鳥」はよく耳にしますが 「握り文鳥」なんて言葉自体はじめて知りました!
よほど信頼してなついていないと、「握り文鳥」にはなってくれないでしょうね。
きっと最期も、ねこぴあのさんやご家族の、笑顔や優しい声や、手のぬくもりを感じながら、天国に逝ったのでは。

悲しいですね。少しは落ち告いだでしょうか。高齢だからある程度は覚悟してたとはいえ、やはり突然いなくなってしまったという喪失感もまだまだあるでしょうね。
でも、そんな中でも、ピアノが、ねこぴあのさんのそばにあっていくれたことを、本当に神様に感謝したいです。

タワシさんへ

ねこぴあの
2017.09.02 Sat 13:24

タワシさん、こんにちは~温かいコメントをありがとうございます。

そうですね・・・・
ようやく、泣かない日もでてきた、というところです。
それまでは毎日泣いてました。

家に誰もいないときに、逝ってしまったようです。それがとてもかわいそうで・・・。
手の中で、逝かせてやりたかったです。
前の晩、夫の手の中で目をつむっていて、当日の朝起こすと、かわいい目でわたしを見ていたのですが。
仕事のためにバタバタしていて、ピースにたくさん声をかけることもできず家を出てしまいました。

家族がなくなったら仕事は休めるのにペットはそうはいかないのはおかしいって思いました。
ピースは幼鳥の頃いつもピアノのそばにいたんですよ。
ピアノを弾くと、よく一緒に歌っていました。
今も、もういないことが信じられないです。