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ブラームス間奏曲118-2の歌詞

明日がお休みなので、今夜はいつもより気分がゆったりです。

只今、ご機嫌なジャズバイオリンのCDがBGM。

そんな曲を聴きながら書くような内容でもないのだけど、ゆったりしてるので、ブラームスの間奏曲118-2の歌詞を記事にしようと思います。



歌詞を書く前に、書いておかなければいけないことが。

わたしの職業は看護師です。

今は違いますが、長いこと病棟で働いていました。

たくさんの患者さんを見送りました。

印象に残った患者さんは複数います。

中でも、大切なことを教えていただいたあるひとりの高齢の女性から、感じたこと、教わったことが、この曲でわたしが伝えたいことです。

詳細は書けませんが、その方は、ひ孫に会えるのを楽しみに、毎日毎日ひとりでベッド上で過ごしていました。

時々来る息子さんは洗濯物を置いてちょっと話してすぐ帰ってしまいます。

彼女は、わたしたち看護師に、辛いとか、苦しいとか、まったく言いませんでした。

ひ孫の写真を床頭台の上に飾り、毎日毎日眺めていて、ひ孫のことを話すときだけ、笑いました。

隣の患者さんがうめき声をあげていると、返事がなくても、「苦しいのかい、頑張って」と、声をかけていました。

いつも、「ありがとう」「ありがたい」と、看護師たちに言いました。

宣告された余命の時期を奇跡的に超えてから、彼女はやっとひ孫に会えたのです。

複数の看護師によってリクライニング車いすに乗せてもらい、日の当たらない病室を出て、明るいデイルームに行きました。

もう抱く力がない彼女は、ご家族たちに囲まれて、支えてもらい、赤ちゃんを抱っこすることができました。

複数のご家族に囲まれた真ん中で、彼女は赤ちゃんを見つめて、笑顔のまま無言で、涙を流していました。

そのときの涙。本当にきれいなものって、こういうものなんだなと思いました。

それから間もなく彼女はお亡くなりになりましたが、わたしは、彼女のことを、忘れませんでした。

たったひとりで苦しんでいるかもしれない人。

孤独に耐えている人。

必ず、見ているひとがいます。

誰かが、こうして、覚えています、胸の中で。

ブラームスの間奏曲118-2を練習していたら、自然に、彼女の顔が浮かびました。

彼女の、きれいな心を、歌にしたくなったのです。



前置きが長くなりましたが、歌詞です。



あの日 そこで 優しい目をして 何を見てた そこにない笑顔

外の光 入らない部屋で なにを思い 苦しいといわずに


(16小節3拍目から)何も食べず ベッドの上 一人耐えて 出る言葉

ありがとう ありがとう ありがとう 今

受けた命が終わるときまで

(34小節3拍目から)人に与え 柔らかな優しさを   

車いすで 笑顔になり 何も言えず 流す涙 ありがとうと

(48小節3拍目から)ああいつかこの想いが かなうと信じてるよ

この手に入らない 分かっている

※同時進行(49小節2拍目からアルト)この手に つか めず 想いを 寄せて

(56小節3拍目から)あー祈りをささげて ああー祈って

祈りをささげて 祈って

(65小節2拍目から)ああいつ でも

この 想いを寄せて 実らない

伸ばした手の中にはない

※同時進行(64小節3拍めの中声部から)ああいつか この想い

 かなうと 信じてるよ

手の中には もう 入らない


(73小節2拍目途中からソプラノ)つかめなくても 

(74小節2拍目途中からアルト)見えるでしょ

(75小節から)ほら

(75小節2拍目途中からアルト)大切な

(76小節から)もの 見える そこに 

誰でも持ってるもの 胸の 中に いるよ 

小さな神様

(84小節3拍目から)何も 飲まず ベッドの上

棚の上の 写真立て

ありがとう ありがとう ありがとう 今

受けた命を 終わるときまで

時を 止めて 柔らかな日差し浴び

(106小節3拍目から)車いすで 笑顔になり 

何も言えず 流す涙 ありがとうと






人は、誰でも、自分の中に、小さな神様がいると教えてくれたのは、別の患者さんでした。

もしも楽譜と照らし合わせてくださったり、音源を聴きながら読んでくださった方がいたら、ありがとうございます。

彼女の美しい涙や笑顔のかけらが、ひとりでも多くの人に伝わることを願います。

そして、なによりも、彼女に感謝を。

ありがとうと。





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ギンヨウアカシア
2018.10.15 Mon 22:19

とても感動しました。

たくさんの患者さんのケアに携わってこられた看護師さんのお仕事の中で
、このように忘がたい体験がおありだったのですね。
病の過程でも、たとえターミナルの状況だとしても、その患者さんの姿勢は人間として素晴らしいと思います。
看護師さんとしての、ねこぴあのさんにとって大切な体験がブラームスの美しい曲の歌詞となって表現されることも、なんだかひとつの奇跡のようです。
天国でその患者さんだった方も、ブラームスの「歌」として聴いておられるかもしれませんね。


Nekoushi
2018.10.16 Tue 00:16

楽譜で音を追いながら読ませていただきました。

ねこぴあのさんと患者さんの出会い、ねこぴあのさんと118-2の出会い。大げさではなくて奇跡のようだと感じます。
とても感動しましたし、心を洗われるような気がします。

次回から118-2の音源を聴かせていただくときは、ねこぴあのさんの想いがより伝わってくるに違いありません。

No title

どれみ
2018.10.16 Tue 07:16

歌詞読ませていただき、今ねこぴあのさんの演奏を聴きながら
コメントを書いてます。
歌詞をつける・・前の記事に
>多声なので苦労しましたが、おかげで内声やバスを理解して聴こえるようになりました(自分比)。
こう書かれてましたが、なるほど~と思いました。
これなら多声のフレーズを聴き逃すことはないですものね。
一番は歌詞をつけることでねこぴあのさんにしか弾けない
「らしさ」が出ると思います。
私はこの「らしさ」ってとても大事だと思ってます^^
この曲は前々から良い曲だな~とは思ってたのですが
ますます深いものを感じるようになりました。

ねこぴあの

ギンヨウアカシアさんへ

ねこぴあの
2018.10.16 Tue 13:03

はい、ほんとに、不思議なほど、身体的苦痛や精神的な膿の部分の表出をされない方でした。何をしても感謝の言葉がかえってきて、こちらがいつも、教わるばかりでした。
世の中的には社会的地位があるわけでもなく、面会はほとんどなく、でも、わたしには忘れられない素晴らしい方だったのです。

奇跡のようですか・・?

118-2は、以前ブロ友さんが弾いていて、それを聴いたとき泣きました。でも手を出せずにいたのです。
ところがその後何年かのちに先生が弾いてくれて、それがあまりにきれいで、弾くことにその場で決めてしまいました。
ある程度音が並ぶようになると、なぜだが分からないけどこの患者さんのことを思い出してしまって・・・。
全部、必然なのかもしれないですね。
温かいコメントを、ありがとうございました。

ねこぴあの

Nekoushiさんへ

ねこぴあの
2018.10.16 Tue 13:09

Nekoushiさん、嬉しいコメントをありがとうございます。
楽譜と照らし合わせて聴いてくださったのですね・・・感謝です。
患者さんの笑顔が浮かびます。喜んでいるといいなあ。

奇跡・・・・お2人の方からそのような言葉をいただくと、なんだかびっくりします。
看護師たちは、ひ孫に会えたことが、奇跡だと感じました。
そうした、不思議な出来事が、看護師をしているうちに、何度もあり、そういう理屈で説明できないものはあるのだと、思うようになったのです。
患者さんの顔ははっきり覚えているけど、ひ孫ちゃんの顔はもう忘れてしまいました。
でもきっと、想いに守られて、元気で育っているだろうと、信じています。

ねこぴあの

どれみさんへ

ねこぴあの
2018.10.16 Tue 13:14

どれみさん、なんとわたしの音源を聴きながら読んでくださって、ほんとにありがとうございます。
ここには書いてないけど、アルト部分にはほんとはもっと歌詞がついてるんですよ。
きっと先生が、この人には歌詞があったほうが歌えるようだ、歌うなら呼吸をさせたほうがいいようだ、などなど考えて、「らしさ」を尊重して育ててくれているのかもしれません。
わたしも「想い」とか「らしさ」がとても大事だと思います!
技巧的に素晴らしくても空っぽの音より、(努力したうえで)間違いだらけでもそうしたものが詰まってる音を聴きたい、そしてそういう目に見えないものに、感動するんだと思っています。

ねこねここねここたつでねてる
2018.11.12 Mon 00:41

感動・・・歌詞、笑えるものかと思ったのですが・・・前書きの患者さんも、歌詞も心の琴線を揺らすもので、ググッときました。 私もそんな風に感謝して、苦しいだの痛いだのフォルテシシモで叫ぶことなく穏やかに天に召されたいと思います。・・・できるかな、人間性の問題だからちょっと無理かも。

ねこぴあの

ねここたつさんへ

ねこぴあの
2019.04.07 Sun 13:26

ねここたつさん、お返事をしていなかったことに今気が付きました、ごめんなさい!><;;

歌詞を読んでいただき、ありがとうございました。
フォルテッシモで叫ぶことなく(笑)、天に召されたいですね・・・本当に。
他にも忘れられない患者さんがたくさんいます。今現在も教わっています。してあげてるんじゃないんですよね。こちらがしてもらっているんですよね・・・・。「ありがとう、ありがとう」って生きていきたいなあ。