ステージは自分のもの
タイトルにしたステージっていうのは、本番で弾くステージのこと。
たとえそれが子供さんたちに混じった発表会だろうと、大人ばかりで集まってやる内輪の演奏会であろうと、「本番」で弾く数分間は、自分のものだと思っています。
ずっとずっと前、先生はわたしに言いました。
「本番ではわたしが言ったことは忘れて、好きなように弾いていいよ」
とても印象に残っています。
言わんとしていることは「ステージはあなたのもの」ということなのかなあと、解釈しました。
そして、この言葉は、魔法のようにプレッシャーがなくなります。自分の音楽を肯定されている気持ち。音楽をだなんて学習中なのにおかしいかもだけど、そう感じるのです。
だから、実際に本番で弾くときは、ピアノによろしくお願いしますって気持ちもあるけど、今まで練習してきた自分を信じるような気持ち。
信じるって、できなかったところが本番で奇跡が起きて弾けるなんて思ってないし、自分の演奏に自信があるわけでももちろんありません。前日まであがいて、だいたい直前に、もうここはだめだ捨てよう、と決めたりしてるんですもの。
でも、自分に言い聞かせます。
大丈夫、あんなに練習したんだもの。
たとえできなくても間違っても悔いはない、やるだけのことはやった。
そして、だいたい本番直前に毎回、先生の笑顔を思い出します。
先生は、ピアノの、音楽の、親なんだなあと、思います。
わたしは実家の親から否定されてばかりで育ちましたけど、
世の中の親に肯定されて育つ子供ってこういう気持ちなのかなあって、思います。
レッスン自体は、わりと厳しいほう?だと思うんですけど、「わたしはわたしでいいんだ」という温かな気持ち。
ピアノを教わってるだけじゃないんですよねえ。
人を育てるって、一番大切なことはそこなのかもしれませんねえ。
「ステージ」を「人生」に置き換えてみると、きっとそうだなあと、思いますねえ。