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それから3人で

そうして、シンフォニア11番の練習の日が来ました。

3人とも、この間のことには触れず、いつものように練習しました。

「ちょっと待って、それじゃテーマの歌い方がばらばらよ、バス、そこはレガートじゃないと思う」

「分かった」

「わたしの音量、これくらいでいい?」

「いいんじゃないか?」



歌い出しはバスの「わたしの罪赦されるとは思わず」。(11番の歌詞

ソプラノは、バスの気持ちに優しく寄り添って、バスは悪くないんだよ!!と言いたい。バスが赦されてほしい。

なので、自分の持つ明るい歌声をできる限り優しい音にしようと密かに練習していましたが、思うようにはできません。

それでも、手を合わせて祈るような気持ちです。

大事なものを守ってきたんだね。大丈夫、バスは悪くないよ。

守ってきた大事なもの続いていくから。赦されようよ・・・。


アルトにはソプラノの思いが伝わっていました。

ソプラノの思いを前に出したい。そしてバスに寄り添うように歌いたい。バスの長い音を消えないようにしたい。

バス、自分を信じて、それでいいんだよ。間違ってないよ。

なくしたものがあるかもしれないけど、バスの命は大切な家族の笑顔になって続いていくよ・・。



歌い終わると、

3人ともしばらく黙っていました。




沈黙を破ったのはバスでした。

「・・・ありがとな。」

目を細めて、泣きそうな顔をして、一言だけ。



「お礼を言うのはこっちのほうよ!」

「わたしも。ありがとう。」



それから、バスはもう、実家の話をしませんでしたし、

ソプラもアルトも、聞くことはありませんでした。

でも、この11番は、このメンバーが、そして音楽が、自分達にとってかけがえのない大切なものであることに、気がつく曲となったのでした。




今日の11番。

練習を始めたときに弾きやすいと思った自分に、

目を覚ませっバカッ!!(怒゚Д゚)ノ

と言ってやりたいくらい、難しいです・・・。







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MINDY
2022.02.19 Sat 16:41

ねこぴあのさん、ストーリー展開にドキドキです。

本当にありそうな話なので、ますます興味津々。この歳になると、周りの友人知人、家族や親せきを見渡しても、「普通の人生」「平均的な日常」なんてこの世には存在しないことに気付きます。みんなそれぞれ、子供の頃にぼんやりと思っていたような「未来」とか「将来」とは違う日々です。

でも、遠くから見ると、割と普通の「小さな暮らし」の日々だったりもします。普通なのか、普通じゃないのか・・・すいません、混乱してます。

でも、シンフォニアの世界って、そういう普通の身の回りにあるものが音になって音楽になっているのかもしれません。バッハの音楽が普遍的に美しいのも、そういうことなのかも。

ねこぴあのさんの音楽でそれに気づいたように思います。ありがとうございます。




ねこぴあの

MINDYさんへ

ねこぴあの
2022.02.20 Sun 13:38

>周りの友人知人、家族や親せきを見渡しても、「普通の人生」「平均的な日常」なんてこの世には存在しないことに気付きます。みんなそれぞれ、子供の頃にぼんやりと思っていたような「未来」とか「将来」とは違う日々です。
>でも、遠くから見ると、割と普通の「小さな暮らし」の日々だったりもします。

ありますね~。
遠くから見ると「ごく普通の」とか「幸せそうな」とか「何不自由ない」暮らしに見えることって。
このわたしでも、ブログを読むだけの人からはそう見えたりして?現実は辛いこともきついこともたくさんあるけど、書かないし、リアルでもよほど仲のいい人にしか話さないです。

>シンフォニアの世界って、そういう普通の身の回りにあるものが音になって音楽になっているのかもしれません。

あっ。
他の方達がどうなのかは分からないんですが、わたしが曲を通して言いたいことはいつも、そのままではないですが、自分の実体験が元になっています。クラシックだからほんとはそれじゃいけないのかな?でも歌詞をつけてる時点でもうそれは「わたしの曲」なので・・・先生も諦めているのかもしれません(^◇^;)