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「音楽は人に聴いてもらうものだよ」

ピアノを再開したばかりの頃、

ピアノではないけど音楽を何十年とやってきた人から、

「音楽は人に聴いてもらうものだよ」と言われました。

その時は意味が分かりませんでした。

自分が楽しければいいじゃん、なんでだろ。下手な演奏聴きたい人がいるわけないよ。

そう思っていました。

でもなぜか、その言葉は胸の中に、音も立てずにコトリと落ちたのです。




時が過ぎて、発表会に出るようになると、

だんだん、分かってきました。

緊張するのは自分だけじゃないこと。

発表会に出ている人は、小さい子供やよっぽど慣れている人はともかく、みんな緊張していたのです。

ガクガクに緊張して、それでも情け容赦なく自分の番は来て、舞台に出たら、一人。

間違えようが、どこを弾いているのか分からなくなろうが、弾くしかない。

最初の頃は、ピアノの音が聞えず自動演奏ロボットのように弾くだけ。

緊張のために、本番前日や本番当日にお腹を壊したことは2回。

弾きながら「ああああああ(ToT)」と思っても止まることもできない。

間違えて分からなくなり、途中すっとばして進んだことは数え切れない。

でも自分だけじゃないんです。

止まったまま戻れない人、何度も何度も同じ所を繰り返す人、演奏を辞めて途中で舞台を降りる人、しばらく無音が続き先生が出ていく人、悔しそうな顔でお辞儀をする人・・・



だんだん、分かってきました。

緊張してその上お金をはらってまで出る人達は、みんなピアノがすごく好きなこと。

たどたどしく弾く音に乗っている想い。

曲が好き、ピアノが好き、そういうものが、直球で伝わること。

顔も名前も曲名も忘れても、忘れられない演奏ってあります。

「うまい下手」とは無関係でした。

中学生の誠実な演奏にじーんとしたり、シニアの方のたどたどしい演奏に泣きそうになったり。





だんだん、分かってきました。

本番対策には、経験が大事なこと。

緊張も落ち込みもなくなりはしない。けど、経験を積むうちに徐々に本番に慣れていくこと。




もっと、分かってきました。

色々なピアノがあること。

弾きながら音が聞えてくる瞬間があること。

ピアノによって会場によってこんなに違うんだとびっくりする。

いいピアノやいいホールで弾く楽しさ、ときめき。




これも、分かってきました。

ピアノを弾くってことは、楽譜通りに音を並べることではなく、自分とピアノが一緒に歌うんだってこと。

どう打鍵したらどんな音が出るか。難しいけど、よく音を聴きたい。

ピアノは今喜んでる?わたしはピアノをいじめてない?

リハーサルは、間違えずに弾く練習ではなく、会場の響きとピアノの音をよく聞いて、打鍵を調節するもの?




さらに、分かってきました。

客席で聴いている人達は、決して敵ではないこと。

同じようにピアノを好きな仲間だ。

だから安心していいんだ。

うまく弾こうとしなくていい。

自分がすごくなるための場所じゃない。

うまく弾きたい見栄なんか捨てちゃおう。

素敵な曲をお披露目する場なんだ。



再開後10年弱ぐらいから、分かってきました。

「このまま時が止まればいい」

「ああもう弾き終わっちゃう、もっと弾いていたい!」

時々、そんなたまらなく気持ちがいい瞬間があること

そしてそれは、本番でしか味わえないこと。

いつもの練習の7、8割ぐらい弾けたときは、達成感を味わえること

それは他では得られない、お金でも買えない、ものすごい充実感。

本番があるからこそ、頑張る。

練習はきつい。先生の指導も熱が入る。

頑張ってもできなければ落ち込む。

でも、落ち込みも苦しみも含めてまるで青春




おまけも、分かってきました。

舞台で弾くために、普段着ないようなおしゃれな服を着る楽しみがあること

何を着るか悩むのは選曲のように楽しい。

これって老化防止?

普通に生きてて、ここまで緊張することはそうそうない。

そういえば先生は、舞台で弾くのはぼけ防止、若さの秘訣っていってたな・・。





もっと豪華なおまけも、分かってきました。

ピアノの仲間ができること!

これって、人生の宝なのではないでしょうか?




一番大切なことも、分かってきました。

自分の演奏に静かに耳を傾けてもらえること。

お金を払ってるから当然、じゃないんですよ。

たくさん練習して紡ぎ出す音は、ピアノと作り出す、自分の子供です。どんなに下手でもです。

大切な自分の子供達を何かをやりながらとかではなく、きちんと聞いてもらえること。

聞いてもらえるって、本当にありがたいことなんですよね。

ピアノが弾けるのは、周りの人の理解や協力のおかげ。

本番が終わるといつも、先生や家族など、周りの人に感謝するようになったこと







もうわたしは、元気でピアノを弾ける限り、本番に出たいと思います。



「音楽は、人に聴いてもらうものだよ」



うん。

本当にそうだね。

教えてくれて、ありがとう!


わたしも、誰かにこの言葉を渡したい。

読んでくださった方、ありがとうございます!








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ジル
2022.05.08 Sun 11:59

本当に、「同じようにピアノが好きな仲間」に、「自分の演奏に静かに耳を傾けてもらえること」は、当たり前のことじゃなく、ありがたく幸せなことですね。

そして、そういう風に大切に取り組んできた曲を、客席で聴かせていただけるのも、とても幸せなことだなあ、と思います。

もっと一つ一つの本番を大切にしていきたい、と改めて思いました^^

ねこぴあの

ジルさんへ

ねこぴあの
2022.05.08 Sun 12:09

ジルさんコメントありがとうございます♪

>そういう風に大切に取り組んできた曲を、客席で聴かせていただけるのも、とても幸せなことだなあ、と思います。

そうなんですよね。
練習は努力が必要だから、努力してきたことを緊張しながら奏でる様に、想いに、そして曲自体に、音に、弾き方に、感動することが多いです。奏でる人一人一人に、家族がいて仕事などの日常があって先生がいたりして・・・大人のピアノは、本当にいいですよね。

本番を大切にしたい、わたしもです。
不穏な世界情勢ですから、平和にピアノを弾けること自体に、聴けることに、もっと感謝したいですよね^^

はじめまして

もふもふ好き
2022.05.19 Thu 13:55

はじめまして。
記事の投稿から遅れてのコメント失礼します。
とても感動しました。
ありがとうございます。
もうすぐ緊張する本番があるのですが、この記事を読めて良かったと思います。
私は趣味でフルートを吹いていて(大人から始め)今はなくてはならない、生活の中の重要な位置にあります。
ですが、本番は怖くて仕方がない。わざわざなんでお金払ってこんな事してるのかと思うのに、何故かそういう場所に身を置いてしまう。そして終われば悔しくて落ち込み自己嫌悪の嵐。でも辞められない。練習は好き。
私はまだねこぴあのさんの境地には程遠いですがいつか近づけたらいいなと思いました。

突然のコメント失礼しました。
時間のある時に他の記事も色々読ませていただいています。

ねこぴあの

もふもふ好きさんへ

ねこぴあの
2022.05.20 Fri 22:14

はじめまして^^
フルートをやってらっしゃるんですね。
なくてはならない生活の重要な位置、分かります、わたしも同じです。

>本番は怖くて仕方がない。わざわざなんでお金払ってこんな事してるのかと思うのに、何故かそういう場所に身を置いてしまう。そして終われば悔しくて落ち込み自己嫌悪の嵐。でも辞められない。練習は好き。

わたしも全く同じです!
怖いですよ。怖いから練習しています。
そこまでして何故出るか?と自分でも思うけど辞められない。
そして結局練習が好きです^^

今日もハノンとシンフォニア練習しました。
どちらもメトロノームありです。
ずれてるのが分かるけど直せない。
大人ピアノはじめてから14年経っていますが今もそんなです。
境地などとんでんもありません。

お互い、その楽器の音が、好きだからですよね。
わたしはピアノの音が大好きです。
死ぬ瞬間も聴いていたいです。